今月のトピックス Vol.30 【二重裏埋没法の危険性】 安価な代金をうたい文句にするクリニックにご用心!

美容医療の最新の話題をお伝えする「今月のトピックス」。今回は、最近増えてきた患者さまのトラブルをご紹介します。

二重まぶたの施術方法として多くのクリニックで行われている「埋没法」。一般的にこの施術には表と裏の二種類のやり方があります。私は何度かブログでお伝えしていますが、埋没法には大きなリスクがいくつかあります。

 

埋没法とは

埋没法は、二重の予定ライン上のいくつかのポイントを糸で留めて二重ラインをつくるという施術です。時間の経過や加齢によって糸がゆるんだり、外れたりすることがあります。糸の結び目が、ぽっこりと膨らんで見えることもあります。

針を使う簡単な施術ですが、患者さまのデメリットが多く、当院では特に埋没法をおススメしていません。

 

高度な技術があってこそできる

裏埋没法は、専用の針を使用し、作りたい二重のライン上の皮膚の一部に上まぶたの裏側から糸を埋め込んで二重まぶたを作ります。糸は細くしなやかで切れる可能性は少なく、生体との反応も安定しているといえます。希望する二重のラインや、まぶたの脂肪の厚みなどから糸を留める場所や点数などが変わります。

裏留め法は表留め法と異なり、糸をまぶたの裏側で留めるためブラインド(盲目的)に針を刺すことになります。そのため、埋没法をメスを使わない簡単な手術だと広告するクリニックがありますが、経験豊富なドクターが高度な技術を要し、正しく行う必要がある手術です。

 

裏留め法のデメリット

  • ・腫れが強く出てしまう
  • ・ミュラー筋を刺激してしまうリスクがある
  • ・裏側からかけた糸の固定を外すとき、ブラインドで行うため手技が難しい
  • ・まぶたの組織に負担がかかる
  • ・糸がとれないことがある

二重埋没法の「裏留め」とは、まぶたの眼球側に糸の結び目を作り、埋没させる留め方のことです。裏留めは、糸玉が目立たないというメリットはありますが、腫れが強く出てしまいます。また、ミュラー筋を刺激してしまうリスクがあり、とても危険です。

裏留めのデメリットとして、糸玉が次第にまぶたの裏側に出てきた場合、患者さまは目に違和感を感じるため黒目(角膜)を強くこすり始めます。そして眼球を傷つけてしまい、取り返しのつかないことになってしまいます。

最近、安価な金額をうたい文句にして患者さまの来院を促し、最終的には高額な金額を要求されるというトラブルが相次いでいます。高額な手術代を支払った上、雑な手術を受け、やり直しを求めて当院を来院される患者さまがいらっしゃいました。
実は、他院で行った裏留めの抜糸は、難しいことが多いのです。他のドクターが糸を留めた箇所は、眼科で専門の器具を使っても見つかりにくいのです(まぶたをひっくり返すと、さらに埋没することもあります)

 

眼瞼下垂の手術でもトラブルが

眼瞼挙筋(上眼瞼の筋肉)が伸びてしまったことで起きてしまう眼瞼下垂も、埋没法を使って手術を行うドクターがいます。皮膚を切らずに眼瞼挙筋を糸で引っ張り上げて固定するため、糸をかけた部分に炎症がおき、正常な組織が繊維化して機能を失ってしまうことがあります。
そして上まぶたの形が不自然になるというリスクがあります。私は眼瞼下垂のスペシャリストとして世界で唯一の手術法「眼瞼挙筋オーバーラップ法」を行っています。眼瞼下垂の患者さまに埋没法を使うことは絶対にありません。気になった方は、ぜひ、ご相談ください。

埋没法によるトラブルの増加は、美容医療の分野に未経験のドクターが多く入ってきている現状も理由としてあるようです。埋没法を安価で簡単な手術だと広告するクリニックにはお気をつけください。当院で「やり直し」を行う場合、他院のやり方によっては難しい場合もあります。また、ダウンタイムに時間がかかってしまうことがほとんどです。そうなる前に埋没法のリスクを知り、手術を受けるクリニックのことも調べてみてください。

 

これからもさまざまな施術をご紹介します。ぜひ、参考になさってください。