今月のトピックス Vol.25 【鼻フル】 お鼻の形を整えるフルコース~整鼻術

美容医療の最新の話題をお伝えする「今月のトピックス」。今回は、鼻の形でお顔の印象を品よく整える整鼻術『鼻フルコース』通称『鼻フル』についてお話しします。

鼻はお顔の印象を品よく見せる大切なパーツであることを、このブログでも何度かお伝えしてきました。ではどのような鼻の形なら整っている、美しいと言えるのでしょう?これは国によっても好みに違いがあり、その人それぞれのお顔のバランスにもよるので一概には言えないのですが、いくつかの要素として・鼻筋が一直線に通っている・両方の目頭の間に小鼻が収まる・鼻先から顎に直線のものを当てたときに唇に当たらない、などがあります。ただこれはあくまでも一般的な例です。そこで患者さまのご希望に沿うために行う、11種類の施術の概要をご説明します。

 

1. 隆鼻術(プロテーゼ)

鼻を切開して医療用シリコンでできたプロテーゼを挿入し、鼻筋を高くします。

 

2. 鼻尖縮小

余分な軟骨や皮下組織、脂肪組織を取り除き、左右の鼻骨軟骨の形成を行って鼻尖を細く、スッキリ整えます。

 

3. 鼻翼縮小(小鼻縮小)

鼻翼(小鼻)や鼻腔底(鼻の穴の下側)の皮膚を削除して小鼻を小さくします。スッキリとした印象になります。

 

4. 鼻翼挙上

鼻の側面の付け根を鼻先よりも少し上に挙げる施術です。鼻全体のバランスを整えます。

 

5. 鼻中隔延長

鼻中隔に患者さまの耳介軟骨、肋軟骨などを移植して鼻先・鼻柱を下方向に伸ばしたり、鼻先の高さを出す手術です。鼻中隔を伸ばすことで鼻先が上向きで鼻の穴が見える状態を改善します。

 

6. 貴族手術(鼻翼基部プロテーゼ、軟骨移植)

鼻翼基部(鼻の付け根のくぼみ)の陥没でほうれい線が目立つ方などに、プロテーゼや軟骨を入れてほうれい線のあたりをフラットにします。

 

7. 猫手術(鼻柱基部軟骨移植)

左右の鼻の穴の間を鼻柱といい、その付け根が鼻柱基部です。この部分にへこみがあることで上口唇が突出して見えてしまいます。鼻柱基部に軟骨を移植することで横顔のバランスを整えます。

 

8. 鼻孔縁挙上術

鼻の穴を横から見たときに、穴のカーブ(鼻孔縁)が下に垂れ下がっていると鼻翼が厚ぼったく見えてしまいます。垂れ下がった鼻孔縁を一部切除し縫合することで鼻孔縁を上方に持ち上げます。

 

9. 鼻孔縁下降術

耳介軟骨を鼻の穴に移植して鼻孔縁を下降させます。正面から鼻の穴が大きく目立ってしまうという方などにおススメです。

 

10. 鼻骨骨切り

鼻骨の部位を狭くしたり、鼻筋を細くスッキリしたりします。鼻筋が大きい、太い、曲がっている、わし鼻などを解消して整えます。

 

11. 斜鼻修正

鼻が正面から見て曲がっている状態をまっすぐにします。斜鼻には鼻骨の曲がりによる骨性斜鼻、鼻中隔軟骨の湾曲による軟骨性斜鼻があります。それぞれを修正することでお顔全体のバランスを整えます。

 

以上、お鼻の形を整える術式の概要をご紹介しましたが、皆さんは「鼻の形を美しくしたい」とは思うものの具体的に「こんな鼻になりたい」とイメージできますか?実際、私のところに来られる患者さまの中にも具体的に答えられる方は、ほぼ、いらっしゃいません。
私たち美容外科医は、以前から鼻を美しく整えることを「整鼻術」と言っていました。上記のように鼻の形を整えるにはいくつかの方法があります。それらを総称してそう呼んでいたのです。患者さまのご希望に沿いつつお顔のバランスをみながら鼻の形を決めていくには、一つの方法だけで解決出来ることの方が多いのですが、中には十分に満足して頂くためには、数種類の組み合わせが必要になることがあります。これがいわゆる、「鼻フルコース(=鼻フル)」という呼び名に変わってきたのでしょう。
まさにフルコースのようにいくつかのメニューを組み合わせるという造語ですね。
さて、ここで一例をご紹介しましょう。

26歳 女性 鼻フル
(隆鼻+鼻中隔延長+鼻尖形成+鼻翼縮小+鼻翼挙上)

CC:
綺麗な整った鼻にして欲しい
解説:
全体的に低く、鼻筋が短い。しかもブタ鼻である。
手術:
オープンメソッドで行いました。先ずは耳介軟膏を採取。鼻中隔延長を行う前に土台をしっかりさせるための鼻翼軟骨の両側を縫合します。また全体的に高くするためにI型のプロテーゼを使用しました。プロテーゼ下端部に採取した耳介軟膏を合わせて縫合します。これを骨膜下に挿入固定後、創部を閉創します。最後に鼻翼を縮小兼挙上させてブタ鼻を解消します。
リスク合併症:
腫れ、出血、変形
リスク回避:
しっかりした固定。

 

施術の流れ

  1. 1.カウンセリングを行います
    患者さまがご希望とされる鼻の形をお聞きします。そしてご予算もお尋ねします。その上で施術方法をいくつかご提案します。ご予算をお伝えいただくことで施術方法、組み合わせなどを考えることができます。患者さまは決して恥ずかしい、言いづらいなど思うことはありません。ご予算をハッキリとお伝えいただくことで私も施術後の鼻の形やデザインなどを具体的にイメージでき、患者さまにお伝えできます。とても大切なことです。
  2. 2.施術当日
    カウンセリング時に鼻の術前の写真を撮って、そこにデザインして確認します。施術方法や組み合わせによって麻酔の種類や施術時間が変わります。
  3. 3.施術後
    日帰りです。施術後はクリニックで少しお休みください。患者様の状態をみて、痛み止めや抗生剤を処方いたします。

 

アフターケア

● 当日は、術後感染のリスクがあるため洗顔ができません。そのため、当日のメイクはお控えいただきす。
● 鼻に強い力を加えるなどはお控えください。
● 患部以外の洗顔は翌日から可能ですが、3日ほどは患部を濡らさないことをお薦めします。術後感染や患部を安全に保つためにもメイクはしばらくお待ちください。
● 1週間ほどで抜糸のためにご来院ください。メイクは抜糸後からOKです。その後、様子をみながら1カ月後に検診を行うなど対応します。

 

●全ての施術に関するリスク

● 手術中の感染がゼロではありません。手術後の傷あとからの感染、合併症の可能性があります。
● 術後出血、傷口が開くなどの可能性があります。
● 患者さまによりますが、4週間程度で腫れは収まります。内出血などがあった場合は、腫れが長引くこともあります。

 


 

鼻の形、鼻の穴の形など、ほんの少し整えるだけでお顔の印象が驚くほどに変化します。もし、なにか迷っていらっしゃるのであれば、ぜひ一度、ご相談だけでもご来院されてみてはいかがでしょう。患者さまの状態を診て、ご予算も含めてよりよいご提案をいたします。そのときは遠慮なく、なんでもお伝えくださいね。

 

これからもさまざまな施術をご紹介します。ぜひ、参考になさってください。